TPECの契約方法
TPECは、産総研を「企業間連携のハブ」とした共同研究体です。TPEC共同研究体の契約は、産総研と企業で締結します(原則一対一ですが、複数機関と契約を結ぶ場合もあります)。この契約を結ぶ際に、研究体全体の運営方法と知財の取り扱い方法に関するガイドラインをセットとして結びます。TPECの会員になるということは、このような共同研究契約を締結することです。情報共有を目的とした一般的なコンソーシアムとは異なります。また、参加するすべての企業と連名で調印する形式ではありません。
なお、親会社との情報共有は原則として不可です。親会社への情報共有が必要な場合は、親会社にもTPECに入っていただきます。子会社との情報共有は、共同研究契約がなくても認めております。
また、共同研究実施中に、その成果を用いた共同開発を外部機関との間でTPECの外で実施することは認めておりません。(外部へのサンプル提供は所定の手続きで可能です)
その他、状況に応じて対応できる場合があります。詳細はお問い合わせください。
TPECのプロジェクト
TPEC内で実施するプロジェクトは、産総研を含む「メンバー」以上の参画者からの提案により、賛同者を募った後、技術的可能性と研究リソースを吟味した上で採択され、個々のプロジェクトがそれぞれのリーダの責任で実施されます。プロジェクトの下に複数のテーマを設け、参加機関で分担する事も可能です。同一の参画者が複数のプロジェクトに参画することも出来ます。開発情報はプロジェクトごとに管理され、その性格(非競争領域か競争領域か)によって、オープンプロジェクト(TO)とクローズドプロジェクト(TZ)に分けられます。
オープンプロジェクト(TO)
プロジェクトに参加している機関の間で情報は共有されます。研究成果はレシピ登録され、プロジェクトに参加していない機関でも、研究に必要と認められた場合は、開示を受けることができます。研究成果の大部分について、TPEC参加機関は(有償で)利用できます(参加機関独自のノウハウについては利用できない場合があります)。
なお、TPEC内オープンとは、原則として、秘密情報として開示を受けることができる情報であって、産総研つくばセンター内での研究開発において無償で利用することが認められる技術情報の開示を差します。つくばセンターから産総研外に持ち出す場合、及び、当該技術情報を事業に利用する場合には、有償による技術移転を受けることが必要になります。
クローズドプロジェクト(TZ)
研究成果は関係者限りで非公開(TPEC組織長を除く)です。TZの一般管理費等の割合は、TOより高くなります。
注)レシピとは、デバイス等の作製手順について文書、図面、CADデータ等のかたちでまとめたものであって、組織長が「標準レシピ」と認定したものです。
人材の受け入れ制度
TPECプロジェクトを推進するにあたり、産総研での研究活動を実施する必要が生じます。産総研の人材受け入れ制度としては、通常の産学官来所者に加えて、特定集中専門研究員制度を採用可能です。
特定集中専門研究員(特専)
民間企業等の出向元機関に雇用される者を、当該出向元機関への復帰を前提として産総研に在籍出向させ、産総研が特に必要と認める研究課題に従事させることができる制度です。レシピの開示を受け、単独で実験を行うことが可能です。
産学官来所者
共同研究において、相手機関の参加研究員等が産総研に来所し実験など研究活動をする場合の受入制度です。産総研の身分はなく、相手機関の身分で研究することになります。レシピの開示を受けたり、単独で実験することはできません。
知財戦略
TPECでは、オープンイノベーション・ルールに基づく知財管理・運用を行います。
- TPEC参加機関は、第三者より有利な条件で、参加機関の知的財産を(有償で)実施できます。
- 発明元機関が自ら独占的に実施する場合は上記ルールの適用を除外することができます。(技術への「こだわり」を認める
- 2年間実施されない研究成果は、Trusted Intermediary(TI)の活動等により、他の参加機関による活用を促進します。これにより、オープンな場でビジネスモデルの創出を促進します。ゴールは技術開発ではなく、新ビジネスの創出であり、原則として、知財とノウハウはメンバー間で互いに利用可能とします。
- TPEC事業での知財はすべてデータベース化し活用します。訴訟リスクに対しては、TPEC参加機関が結束して対応します。
- オープンイノベーション推進のために知財(特許・ノウハウ)の取引を制度化しています。Trusted Intermediary (TI人材)を配置しています。
- 研究体外への譲渡、許諾は制限されます。
国家プロジェクト等との違い
TPECではオープンイノベーションを促進するための、ユニークな制度を取り入れています。下表に、国家プロジェクト等との違いをまとめました。
国家プロジェクト等 | TPEC | |
---|---|---|
費用負担 | 委託又は助成金 | 参加機関による公平なコストシェア |
知財 | 企業 | 企業(研究体内の他社の知財を有償で利用することを推奨) |
研究開発フェーズ | インキュベーション ~ 橋渡し前期 | 橋渡し後期 ~ 事業家投資判断 |
参加、脱退の自由度 | 原則として、プロジェクト期間中の異動は認められない | いつ始めて、いつやめてもいい |
法人格 | 技術研究組合などを使う | TPEC自体には法人格はない |
試作品の製造販売 | プロジェクト期間中は不可 | いつでも可能 |